Elliott Abrams, "Trump the Traditionalist", Foreign Affairs, Juy/Aug. 2017
筆者はブッシュ政権下でアメリカの中東政策形成に関与した一人で、今年の初めにはティラーソンに抜擢されて国防省へ…という噂が流れたこともあった。その筆者が語る「トランプ政権の外交政策は、結局のところこれまでの共和党政権と大きく変わらない」とする診断。まあこれまでを見るかぎり大して変わっていない(変えられなかった)のは確かだけど、今後もそうと断言する理由がよく分からない。
こちらは英国の王立国際問題研究所でディレクターをつとめる筆者による、国際情勢診断。中ロの台頭に加えトランプ政権の誕生で世界的にリベラリズムは危機にあるように見えるが、実際はそれほど心配する必要はなく、これから力強く復活するだろうと。ただしそのためには世界経済の成長維持が必要だから、たとえば中国の一帯一路政策に欧米もくわわって、どんどん投資せよと。なんだかお気楽な診断だと思う。

これはなかなか素敵な記事。筆者が生まれた中西部の町を再訪し、そこで出会った小学校の教師や水道局の技師といった身近な人の話に耳を傾ける。テーマはアメリカの保険制度である。
彼らはごく善良な人たちで、身の回りの困っている人に手を差しのべることにはすこしも躊躇しない。
しかし勤勉で堅実な人生を送ってきた自分たちと比べて、一向に暮らしを立て直そうとしない怠惰な人々に、高額の健康保険が支出されていることに釈然としない思いも抱えている。
社会保障の光と影を、高いところからではなく街場の感覚から解きほぐしてゆく。まさに草の根の社会民主主義を地でゆく光景。日本の選挙戦でも、こういう議論があるといいと思う。