雪国の小さな街のスケートリンク、熱心にフィギュアスケートの練習をかさねる少女とコーチの青年。吃音の少年は彼女の舞いをみてまっすぐな恋に落ち、それに目をとめたコーチの誘いで、3人でアイスダンスの試合出場をめざすことになる。 ほぼシングルイシューながら、多くの人が好感をもつはずの愛すべき掌編。
ドライブショットやキャッチボールの1ショット切り返しが示すごとく、映画としては器用さも深さも欠いているし、スケートリンク場面は確かに素敵だけど、全篇が広告写真の照明。 それを救っているのが少女のたたずまいと、吃音の少年の存在感。
忘れがたいショットはたくさんあった。控え室で少女がスケート靴の紐を結びながら、ふっと目を上げてリンクを眺めるその横顔。等々…。 この少女役の中西希亜良さんは実際にフィギュアスケート修行中で、今回が映画初出演。彼女に向かい合う池松壮亮も、少年役の越山敬達くんもいいし、これはもうキャスティングの勝利。
Hiroshi Okuyama’s Second Feature Traces a Gentle Trajectory Through Changing Seasons (Variety, May 19, 2024)
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